企業再編における労務管理

1.合併の場合
新設合併の場合も、吸収合併の場合も,いずれも合併後の会社は、合併前の会社の権利
義務関係を包括的に承継しますので,消滅会社の労働者との間の労働契約も存続会社に
包括的に継承されます。したがって、複数の労働条件が併存することになり、労働条件
を統一する必要があります。
 
2.分割の場合
会社法は,労働契約を含め承継会社に移転する権利義務の範囲を,分割会社が自由に決
定できることにしているため,従業員に及ぼす影響が大きく,労働契約承継法により労
働者の権利との調整を図り労働者を保護しています。
分割の場合、「新会社に移るのは誰か」が問題になります。新会社に移りたくない従業
員や、移れると思っていたのに移れない従業員がでたりします。
労働契約承継法第2条1項により、会社には従業員に対する通知義務があります。
また、平成12年商法等一部改正法附則5条により分割会社が労働者と分割内容について協
議することを義務付けています。
さらに、労働契約承継法第7条により,分割会社は労働者の理解と協力を得るよう努める
ものとされています。
吸収分割では、権利義務が承継会社に自動的に承継されますので,労働条件の統一の問
題が発生します。
 
3.事業譲渡の場合
事業譲渡における労働契約の承継は,譲渡会社と譲受会社との個別の合意が必要である
とともに,民法625条第1項により労働者の個別の合意が必要とされています。
民法625条1項
使用者は,労働者の承諾を得なければ,その権利を第三者に譲り渡すことができない。
 
事業譲渡により労働者を受け入れる場合、次の二つの方法があります。
① 労働者が転籍元を退職して,新たに転籍先に雇い入れてもらう方法
② 労働者の転籍元との労働契約を,転籍先に承継する方法
この二つのどちらにするかの問題があります。
さらに、譲受会社は、譲渡に関する労働者の受け入れを拒否することができるため、転
籍する人に関する問題、転籍しない人に関する問題が発生します。
転籍する人の場合、退職金の問題や,年次有給休暇をどうするかの問題があります。
 


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